■永住ビザ職業査定団体とは
以前、「オーストラリア技術独立永住ビザの基本条件」のところで、自分のしている職業には、その職業ごとに点数があって、その点数が永住ビザの取得に大きい影響を与えるという事を書きました。
そして「オーストラリア永住ビザポイント、自分は何点とれるの?」というところで、僕は、エンジニアという事で自分で勝手に60点というポイントを決めたわけですが、本来は、職業の査定をする団体に書類を提出し、査定をしてもらい、合格して初めて自分の点数を数える事が出来るわけです。
その、職業を査定する専門機関のことを職業査定団体といいます。職業査定団体は、各職業の分野別に分かれていて、例えば、翻訳、通訳関連の査定団体はNOOSA、シェフ,ヘアドレッサー関係はTRA、エンジニア関係は、IEAとなっています。それでは以下にて、僕がどのように職業査定を突破していったかを順番に書いていきたいと思います。
■永住ビザスキル査定の突破はCDRがカギ
職業査定の準備を始めたのは、丁度2004年の10月ごろの話です。この時には既に、ビザエージェントと契約していましたので、このエージェントとは、頻繁にメールのやり取りをしていました。
今後はこのエージェントとのメールのやり取りも参考にしながら、記事を書いていきますね。まずは、エンジニア関係の査定を行っているIEA(Institute of Engineer Australia)が何を根拠に、スキルの査定するのかというところから書いていきます。
まずは、エージェント選定段階で、あるビザエージェントから来たこの文章を読んでください。職業査定を突破する、二つの方法が書いてあります。
「豪州の教育機関からのエンジニア関連学士号や、シドニーアコードやワシントンアコード締結国からのエンジニア関連学士号の場合はほぼ自動的に承認を受けられます。日本はワシントンアコードにはいまだ暫定加盟状態ですので、自動的に認定を受けることは出来ないため、日本のエンジニア学士号とCDR(Competence Demonstration Report)という職務経験を通じて体得したエンジニアとしての技術や知識についての細かなレポートを提出し、それを査定される形となります。」
分かりずらい文章ですよね。(保険の契約書みたいで)この文章を読んだ時、最初は僕もわけが分かりませんでした。
そのうち、いろいろと調べていくに連れて分かるようになったのですが、要するに、
1. もし、オーストラリアの大学の学士号を持っていた場合、もしくは、日本がシドニーアコードやワシントンアコード締結国であったのなら、オーストラリアの大学の学士もしくは日本の大学の学士だけで、スキル査定がパスできた。しかし、オーストラリアの学士も持っていないし、日本もアコード締結国ではないので、大学の学士号だけでは、パスできないという事実がある。
2. そして、1の条件に当てはまらない場合、スキル査定をパスするためには、日本の大学の学士号と、自分の行っている職業についてのレポート(Competence Demonstration Report以下CDR)の両方をIEAに提出し、認められなければならない。
という事です。
なんで、近代国家の日本が、シドニーアコードやワシントンアコード締結国でないのか?いまだに疑問ですが、まあ仕方ない、上の2番目の方法でやるしかありません。大学の学士号は、大学の事務に頼めば、英文のものを書いてくれるので、問題なし。
問題は、CDRです。
IEAの査定が通るか通らないかで、永住ビザが取れるか取れないかが決まるといっても過言ではありません。当然ですが、CDRの作成には自然と気合が入っちゃいました。
■永住ビザスキル査定CDRの軸となるもの
IEAに提出するスキル査定の提出書類は、以下のものがあります。
1. Application Form
- Application Fee
- Letter to appoint person to act as agent
- IELTS Result
5. 大学の卒業証明書と成績証明書(英文)
6. 資格の証明書
7. 英文履歴書
8. 会社のレファレンスレター
- 9. Continuing Professional development
10. CDRのカバーページ(写真を貼り付ける)
11. 3つのキャリアエピソード
12. Summary Statement of Evidence for the competency elements
上記書類をCDRにはつけなければいけませんが、一番の大仕事は、No.11の3つのキャリアエピソード。これが、職業査定が通るかどうかの軸となるものです。他の書類はそれほど大したことはありません。
キャリアエピソードというのは、仕事上のプロジェクトのことです。これについては仕事で自分が申請するキャリア(僕の場合はメカニカルエンジニア)に合ったプロジェクトを3つ英語でまとめなければいけません。
これがほんと大変でした。
■永住ビザCDRキャリアエピソードの大変さ
3つのキャリアエピソードを書くのは凄く大変でした。一番大変だったのは時間の確保。仕事が非常に忙しかったので、あんまり時間がなかったんですね。でも、自分でやらなきゃ進まないんで、何とか時間管理をしてやりました。
そのころ、どんな生活をしてたかというと
会社で仕事をする
⇒家に帰ったらキャリアエピソードを書く
⇒寝る
⇒早起きして会社に行く前にキャリアエピソードを書く
⇒会社に行く
というような生活をしてまして、これを3ヶ月間ずーっと続けました。
どのくらいのボリュームかは忘れましたが、3つのエピソードを合わせて、だいたいA4で40~50枚くらい書いたでしょうか。
まず日本語で全部ストーリーを作って、内容を完璧に仕上げた後、それを英語に翻訳するというやり方をしました。こうすると、内容は英語で考えることなく、時間の短縮になりますので。
その間、ビザエージェントとは、その他書類の分からない点を随時聞き、キャリアエピソードに関しては、英語のチェックをしてもらいました。ビザエージェントは、機械の専門家ではないので、内容をどうこう言う事はできませんから、自分で責任持って内容を仕上げなければいけませんでした。
2004年の10月に始めて、完成が12月の終わりだったんですど、終わった時は、ほんとに、ほっとしました~。
(このキャリアエピソードについては書き方等、詳細を別でまとめるかもしれません。)
それともう一つ、CDRの提出書類の中で、別の意味で苦労した書類。
それは、「会社からのレファレンスレター」なんですが、今勤めている会社にオーストラリア移住を計画していることがバレるっていうこともあり、精神面でちょっと苦労しました。
■レファレンスレターは必須項目
職業査定必要書類の中に、「会社からのレファレンスレター」というものがあります。
レファレンスレターとは、簡単に言えば、「職務証明書」のようなもので、要するに、会社で、何年間、どんな仕事をしているか、そして、どんな人物か、を会社に証明してもらうものです。
また、このレファレンスレターは、会社のレターヘッド(会社のロゴ付きの正式な用紙)が必要になります。このロゴ付きのレターヘッドが無いと、正式な書類として認めてはもらえません。
それから、ここからが今日の大事な部分ですが、
「直属の上司のサイン」
が必要になります。
と言う事は、会社にオーストラリアの永住ビザを取得しようとしている事がバレます。今までは、秘密にしておけたのに、今後は会社を辞めるかも知れないということを前提に仕事をしなければいけません。やりずらくなりますよね~。
では、どうすればよいか?
「正直に信頼できる上司に話をする」
これ以外の方法はありません。オーストラリア永住ビザ取得に裏技はありえませんし、会社にばれて仕事がやりずらくなってまでもオーストラリアへ永住したいという気持ちを持っていないと、やり遂げられないでしょう。
僕は、信頼できる直属の上司に、オーストラリアへの永住が自分の夢である事、そのために、永住ビザの申請を準備中であることを正直に話しました。上司も理解してくれ、その上の人たちには内緒で、サインをしてくれました。普段の信頼関係の大切さを思い知らされた出来事でした。
でもあくまでも、永住ビザを取れるかどうか分からない、可能性は50%くらいである、そして取れるとしても、後何年後か分からないと、少し控えめに話をしておきました。
この正直に話をしたことが、後々正解だったと分かるときが来ますが、このときは、
そんな事があろうとは、思いもよりませんでした。
■職業査定の結果はいかに
職業査定の書類作成に取りかかったのが、2004年9月終わり
職業査定用の書類を提出したのが、2004年12月27日、
書類がエージェントに届いたのが、2005年1月4日、
エージェントチェック後IEAに届いたのが、2005年1月7日でした。
あとは、IEAからの連絡を待つだけです。
「どうか書類が無事に通りますように、、、」
と祈りつつ、毎日何回もエージェントからの連絡を待っていました。
丁度1ヶ月後の2月7日にエージェントから連絡が、、、
「審査結果が出ました」との表題
ええーどう出たんだろうとおそるおそる見てみると、
「お世話になっております。さて、Engineers Australia (IEA) からレターが届き、Mechanical Engineer (2126-11) として無事認定を受けられましたのでお知らせいたします。おめでとうございます。」
やった~。3ヶ月強がんばった甲斐がありました。次はいよいよ、アデレードにある移民局への永住ビザ申請準備です。もうひとがんばり。やるぞー。